創刊号
私が以前に勤めていた会社は"がん保険"のパイオニアで、生保業界にあって独自の道を歩み続け、他社の入り込む余地のない仕組みを作り上げた。すごい会社だった。しかし、運もよかった。
初の第三分野商品"がん保険"として認可を受けた昭和49年は、絶妙のタイミングであった。
なぜなら、病気のことを知っていながらも知らないふりをするという我が国独特の慣習を背景に、"がん"はじわじわと増え続け、その死亡者数が昭和56年にトップとなったからだ。
知りたくないけど知っておくべきであるという混乱した気持ちの中で、乏しかった情報が少しずつ開示される方に向かい、50年代に入ると連日のようにマスコミがその恐怖を伝えることになった。
いわく、「がんが急増している」「働き盛りを襲う怖い病気」「とはいえ、早期発見・治療で治ることも」「その際は、経済的打撃が大きい」…会社の積極的な宣伝がほとんどなかったにも関わらず、"がん保険"は追い風に乗って、快進撃を続けるのである。
昭和59年、横浜で営業の現場にいた私は、「この商品は、家族保障がユニークなので、安い保険料と相まって、結婚後間もなくの35歳前後がメインの売れ筋となる」の説明を受け、セールストークに磨きをかけていた。
それから10年。商品の年齢別販売実績のピークは、45歳にシフトしていた。何のことはない、我が国の人口構造が"団塊の世代"(昭和22〜24年生れ)によって歪められており、ここの人数が多いため、いつの時代でも主役となっていたのだ。
面白いじゃないか!
たくさんいるからこそ、たくさん買う人がいる。目からウロコだ。以後、人口動態統計は私のバイブルとなる。
このメールマガジンは、世の中で起こっているいろいろな現象を人口動態統計に結び付けて、私なりにまとめたものです。どうぞ、ご愛読をお願いいたします。
平成17年8月
有限会社ドリ−ムキャッチャー
代表取締役 若林 健
Vol.1
政治の世界では、いつのまにか古い人がいなくなり、大幅に若返った。女性の立候補が増えたのも注目すべきところだが、刺客とやらの参戦で、地元意識が薄れ、お金の匂いもしなくなった。すごい勢いで、世の中は変わっているのである。
そんな中、小泉首相は「郵政民営化」が争点だと言うが、実際には政権選択が問われていると考えたほうがいいだろう。
その際に、大きな問題となるのが、投票率である。低ければ、組織票が働き、高くなると、無党派層の動きがカギとなる。
過去の衆議院選挙の投票率は、以下のとおり。
1890年(第 1回) 山縣有朋政権 93.9%
1920年(第14回) 原敬政権 86.7%
1942年(第21回) 東條英機政権 83.2%
1952年(第25回) 吉田茂政権 76.4%
1960年(第29回) 池田勇人政権 73.5%
1972年(第33回) 田中角栄政権 71.8%
1983年(第37回) 中曽根康弘政権 67.9%
1993年(第40回) 宮沢喜一政権 67.3%
1996年(第41回) 橋本龍太郎政権 59.7%
2000年(第42回) 森喜朗政権 62.5%
2003年(第43回) 小泉純一郎政権 59.8%
選挙権が、納税額に関わらず20歳以上の男女と定められたのが、戦後のことなので、比較を行うならば、第25回以降とすべきである。これを見ていくと、少しずつ下がっているのが分かる。世の中に対する関心が薄い国民が増えていると見る向きもあるが、ここではもっと根源的なところを見つめてみたい。
第42回衆議院議員総選挙における年齢別投票率は、以下のとおり。
<明るい選挙推進協会データより>
20〜24歳 35.6%
25〜29歳 40.6%
30〜39歳 56.8%
40〜49歳 68.1%
50〜59歳 72.0%
60〜69歳 79.2%
70〜79歳 76.7%
80歳以上 53.9%
つまり、60代をピークに、時間に余裕がある高齢者の投票率が低下していくということ。気持ちがあっても、身体が言うことをきかないわけだ。
前々回から、5年が経過した。当時、484万人とされていた80歳以上人口は、140〜150万人が増加したと見込まれているため、どうしてもその層の落ち込みを抑えることができない。電子投票が叫ばれる所以である。
一方で、絶対的多数である団塊世代が毅然として投票率を支える。
<平成16年人口動態統計より>
20代人口 1,605万人
30代人口 1,812万人
40代人口 1,553万人
50代人口 1,881万人
60代人口 1,592万人
70代人口 1,153万人
80代人口 494万人
90歳以上 101万人
団塊の世代(昭和22〜24年生)を抱える50代。彼らが、年金を最大関心事としているのは間違いない。
そして、今回、投票率が上がると見込まれるのが50代であり、民主党が年金を争点にしたがっているのには、そんな背景(人数が多い)もある。
さらに、意外に思われるかもしれないが、有権者の男女比は圧倒的に女性優位なのだ。
<20歳以上人口男女比>
男性 4,916万人(48.2%)
女性 5,276万人(51.8%)
なんと、360万人も女性が多いのである。自民党が26人と過去最高の女性候補を揃えた裏側には、そんな事情も働いている。本当は、おばちゃんは、若い男性が好きなんだけどね。もうちょっと、ひねってもよかったかも。
さて、今回の選挙。注目される投票率であるが、注目度が高い劇場型とはいうものの、私見では67%前後(70%は超えない)と見込んでいる。
高齢化が進んだことに加え、冷めた20代がどうも怪しいからだ。若者から改革派の旗手と見られているホリエもんが、小泉首相の神奈川11区で出馬していれば、大きく変えることができたと思うのだが、広島六区で自民党推薦というのが想定の範囲内で、どうもねえ?
Vol.2
13日、厚生労働省が長寿番付を発表した。それによれば、100歳以上のお年寄りは、全国に25,606人だという。そのうち、女性が21,820人で85.2%。男性は、3,786人にすぎない。世の中には、おじいちゃんよりおばあちゃんのほうが圧倒的に多いのである。それも、独身で。
ここに目をつけて、リフォーム詐欺みたいなもんが起こるわけですね。相手がじいさんだったら、そもそもの会話が成立しない。
「お宅の屋根にアスベストが使われていますけど」
「雨漏りはせんからのう」
「いえ、発がん性物質が含まれていて…」
「タバコは絶対に止めんぞ」
「……」
おばあちゃまは、世間にも充分に目がいっているし、よそ様の事例を引き合いに出されたら弱い。そして、何よりもまだまだ生き続けると考えている。
つまり、女性には余生という概念がないのである。
これは、生命保険の現場では当たり前の話。旦那さんには五千万以上の保障を考えるくせに、ご自身もいかがですかと勧めると、
「私はいいわ」
と即答する。“私”は年金型の商品ならば、すかさず乗ってくるのだ。何故なら、『オンナは死なない』から。ホント、大半の女性は本気でそう思っている。
Vol.3
朝のワイドショーで「星座占い」をチェックするのが習慣になっている人は多いと思う。
それでは、その視聴率を秒単位で調査したら、何座のところが一番高くなるのだろうか?ふと、思い立って、調べてみた。
<月別出生数>
平成12〜14年合計
1月 299,405
2月 270,434
3月 289,201
4月 281,840
5月 298,263
6月 283,998
7月 306,648
8月 307,226
9月 305,011
10月 301,646
11月 281,457
12月 289,935
7〜9月に赤ちゃんが多く産まれているのが分かる。つまり、星座でいえば、
1位 しし座
2位 おとめ座
というのが、最近の傾向なのだ。確かに、若いおかあさん方の間にも、「早生
まれ」は初期の段階で不利を受けやすい(学力面・体力面)という風評がある
らしく、計画出産の中では、夏に産もうと考えるのが妥当ともいえる。4月・
5月だと早まる可能性もあるからだ。
ちなみに、この月別出生数は、昭和50年より前では、ずっと1月生まれがト
ップを占めていた。昔は「早生まれ」がトクだと考えていたのである。面白い
ですね。
<月別出生数>
昭和30年 40年 50年
1月 200,116 167,220 168,095
2月 157,071 151,449 152,985
3月 156,751 159,421 159,750
4月 148,066 154,749 159,940
5月 132,368 140,137 161,271
6月 118,513 135,226 152,785
7月 132,759 151,439 167,835
8月 142,036 157,205 164,422
9月 138,323 158,681 159,301
10月 137,054 159,240 155,050
11月 132,986 144,084 142,880
12月 134,649 144,846 157,126
誕生日を商売にしているおもちゃ業界やファミレス業界は、知っているのかな
ぁ?
Vol.4
夏に着ていく喪服がなくて、困った経験のある人は多いかも。それは、夏に行
われる葬儀が少ないからだ。冬のピーク時と比べると、20〜25%減となってい
る。
<月別死亡者数の年次推移>
昭和30年 40年 50年 60年 平成14年
1月 72,754 67,929 67,682 71,890 93,827
2月 63,206 64,568 66,330 62,025 83,225
3月 64,545 89,876 70,204 66,571 88,232
4月 58,779 61,960 58,657 60,953 79,637
5月 55,939 54,451 54,546 59,890 79,132
6月 51,183 48,896 50,616 55,584 73,273
7月 52,319 49,342 55,014 58,231 76,520
8月 51,661 48,905 53,403 58,738 75,725
9月 50,331 46,609 49,305 54,709 73,617
10月 53,397 52,993 55,598 61,804 80,087
11月 57,304 52,409 56,699 63,122 87,069
12月 62,089 62,475 64,221 78,766 92,033
戦前までは、3月が鬼門となっていた。いわゆる季節の変わり目というやつ。
近年は、暖冬ということもあって、この傾向が薄らいでいる。健康に関する知
識が上がっていることも見逃せない。
厚生労働省が先月発表した人口動態統計(速報)によると、上半期(1〜6月)
の出生数が死亡数を約31,000人下回り、1969年に統計を取り始めて以来、初め
て人口が減少したという。
しかしながら、前号で述べたように、出生は7〜9月に多く、死亡は1〜3月に多
いという過去のデータから、年内にまた、逆転するのである。香典のほうが、
出産祝いより多くなるのは、来年からだという見方が強い。
つまり、日本の人口のピークはまさに今現在であり、当然のこととして、これ
から土地の値段が下がっていくのである。
Vol.5
ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(65)が自ら”がん”であることを生放送中に公表した。“直腸がん”だという。こんなことは、珍しくなくなった。今年、有名人で”がん”告白が話題になったのは以下のとおり。
中島忠幸(カンニング) 34歳 急性リンパ球性白血病
堀内恒夫 56歳 大腸がん
本田美奈子 37歳 急性骨髄性白血病
貴乃花親方 55歳 口腔底がん
ケーシー高峰 70歳 舌がん
大橋巨泉 71歳 胃がん
岡田真澄 69歳 食道がん
告白するようになったのは、逸見政孝氏以降であるように思われるが、これは、医師が患者本人に対して、がん宣告をするようになったからにほかならない。
昔は、がんセンターで手術し、二ヶ月入院して、放射線治療を行っていたとしても、「あなたはがんでない」と言って、家族全員で演技していたのである。無理がありますね。だから、”がん”が治ったとしても、誰も気が付かない。死亡したときだけ、おおやけにするもんだから、『がんになったら絶対に死ぬ』というナガティブなコンセンサスが出来上がっていた。
本当は、早期発見で助かっていたケースもたくさんあった。最近ようやく、そのことが理解されてきたように思う。そういう意味では、有名人による告白は、大きな影響力を持っているのだ。
Vol.6
最近、行くようになった床屋さんは、官庁街にあるため普通のお店と違い、祝祭日を休みにしている。若い店員さんには嬉しいことだ。日曜日に休めるのは。普通にデートできるから。理容業界は、こういうところで苦労があるのである。人材確保の面と自分の子供の教育など。遊園地、行けません。
そして、それよりもっと問題なのは、若者の床屋さん離れだ。
今の若い人は、美容院へ行ってしまう。周りがみんなそうだから、恥ずかしくもない。結果、お客は、おっさんと子供ばかり。これは、深刻です。
私が通うお店では、髭剃りの間に、別の人が器械を使い、入念にふくらはぎや足裏のマッサージを行います。これが、めっちゃ気持ちいい。今まで、肩や背中を丁寧に揉んでもらったことはあるものの、足ツボは初めての経験だ。(通うのを)やめられなくなる。やるもんだねぇ。
美容業界に喰われた理容業界は、マッサージの領域に進出して、客単価を上げればよい。そう思います。なるほどねぇ、これも一種の多角化である…と考えたが、それもちょっと違うようだ。というのは、
オフィス街で散髪にやって来るおじさんたちは、みんな髪の毛が…。
だから、すぐに終わってしまう。お金、取りにくいです。仕方なくて、マッサージ部門を進化させた。こう理解すべきでしょう。うん、こっちが正しい。
薄い人が増えていく高齢社会は、理容業界を激変させる。それは、カットしている時間よりも、マッサージするほうに重点が置かれるようになるのである。そのために、人手が必要となり、お店はネイルサロンのように、ちょっぴり高級化していくのである。
Vol.7
最近は、キャッチボール(野球じゃない)をやったことがない子供がいるんだそうな。
ハァ〜?
私(現在49歳)たちが子供のころ、野球をやらない男の子とは、仲間ハズレを意味していた。グローブを持っていないのも、かなり厳しい。少年は、「取りジャン」という代表者同士のジャンケンで、ドラフト制度を味わい、場合によっては、学年を超えて遊んだりしたもんだ。高度成長を続ける中、空き地がいっぱいあった時代である。
今は、道路で遊んだりすると、怒られる。しかも、お父さんは、年とっててキャッチボールにならないし、元気もない。結果、サッカーのほうが手っ取り早いと。ボールの飛びも違うし、バットを振らないからたいして危なくない。
そして、少子化の問題、大リーグへの人材流出、村上ファンド…。
そう、プロ野球10球団1リーグ制の問題には、こうした背景があるのです。西武は、親会社の不祥事で株主からのプレッシャーがある。広島は、交流戦のせいで、ドル箱巨人戦六試合減少による収入減。横浜は、観客動員100万人割れで赤字深刻。オリックスは、オーナーがさらなる合併を画策。
本当は、カープのような地元に根付いた球団は、市民が株主となったほうが、お金が集まるし、経営安定するのであろう。
言いだしっぺがよくない。眼鏡を外すと悪い萩本欽一といった風貌の村上氏。顔が悪いと、正しくても支持されないことを学んだ。「男は顔じゃない」というのは昔の話である。
Vol.8
死亡原因には流行がある。
戦前は、『結核』。感染症であるため、発病すると隔離され、長期の療養も余儀なくされた。今では、ほとんど聞くこともないような疾患となり、空気のよいところにある結核療養所の看板は、老人ホームへとすり替わっている。
変わってトップに躍り出たのが『脳卒中(脳血管疾患)』。これは、なんといっても塩分摂取過多の食生活が要因となっており、戦後三十年にわたって首位の座に君臨していた。
そして、昭和56年。統計が取られ始めてから、一度も前年を下回ることなくじわじわ増え続けていた『がん(悪性新生物)』が、第一位となったのである。以後も着実に数字を伸ばしており、当分の間、この地位は揺らぎそうもない。
それでは、何故、そんなことになったのだろうか?
がんの危険因子として、食生活の欧米化、タバコ、ストレスなどが挙げられているが、最も重要なことは、
ほかの病気は、克服されているにも関わらず、
がん治療には、いまだに決め手がないこと
なのだ。
【年齢階級別がん死亡者数(平成15年)】
年齢階級 総死亡 がん死亡
0〜9才 5,181 219
10〜19 2,794 350
20〜29 7,866 772
30〜39 13,221 2,514
40〜49 26,960 8,797
50〜59 79,847 34,424
60〜69 143,568 66,678
70〜79 266,297 103,290
80〜89 310,697 73,263
90〜 157,819 19,219
30歳過ぎたらがん年齢などともいうが、それはむしろ例外的な話で、実際には大半の人が、60歳以上で発症している。だから、平均寿命の短かったころは、がんになる前に、ほかの病気でやられていたものが、長生きすることによって、がんに捕まってしまうという図式になっているのだ。
がん患者が増え続けているのは、人口の高齢化が最大の理由なのである。
Vol.9
「団塊の世代」とは、作家の堺屋太一氏によるネーミングで、昭和22年から
24年の三年間に産まれた人たちが突出して多いところから、そのように呼ば
れている。我が国の歴史上、最も同期生が多い世代。その結果、いまだにこの
グループが、多数派を構成している。
【 年齢階級別男女別人口(平成16年推計)】
合計 男性 女性
総数 126 176 000 61 597 000 64 579 000
0 〜 4 歳 5 679 000 2 914 000 2 765 000
5 〜 9 5 889 000 3 015 000 2 874 000
10 〜 14 6 015 000 3 082 000 2 933 000
15 〜 19 6 686 000 3 431 000 3 256 000
20 〜 24 7 506 000 3 858 000 3 649 000
25 〜 29 8 547 000 4 366 000 4 181 000
30 〜 34 9 626 000 4 875 000 4 751 000
35 〜 39 8 493 000 4 284 000 4 208 000
40 〜 44 7 775 000 3 914 000 3 861 000
45 〜 49 7 758 000 3 891 000 3 867 000
50 〜 54 9 224 000 4 596 000 4 628 000
55 〜 59 9 582 000 4 733 000 4 849 000
60 〜 64 8 609 000 4 172 000 4 437 000
65 〜 69 7 312 000 3 470 000 3 842 000
70 〜 74 6 444 000 2 941 000 3 503 000
75 〜 79 5 082 000 2 161 000 2 921 000
80 〜 84 3 222 000 1 125 000 2 098 000
85 〜 89 1 713 000 524 000 1 190 000
90 〜 1 013 000 246 000 768 000
(総務省統計局)
現在の年齢にすると、56〜58歳。サラリーマンであれば、ズバリ定年で、今年あたりから、大量のフリーターが誕生していく。ニートどころの話ではない。
最近は、図書館や喫茶店に行くと、ネクタイを締めていない60代前後の男性が目につきだした。時間を潰している感じ、そういう姿は同世代の女性にはあまり見られない。
第二の人生については、仕事のことよりも余暇の過ごし方がテーマとなる。この世代が火をつけたゴルフブームだが、いつまでも同じような動き方ができないからだ。
私の会社では、中高年に向けたコンサートを企画・運営しているが、以前は女性が主役の市場だったものが、ここへ来て60代男性からのネットによるチケット購入申込みが目立ってきた。面白いものである。
Vol.10
プロ野球ドラフト会議は、昭和40年に初めて行われた。
それまでは、自由競争であり、そのために契約金が高騰。また、特定の球団に戦力が集中したため、戦力の均衡化の意味合いも込めて、アメリカの制度を真似たものを導入したとされている。
もともと興行の世界には、交渉の過程にいろんな人物が介在し、裏金が動くという暗黙知のようなものがあって、それに関わるお金はエスカレートするばかりだった。加えて、なんでもアメリカの後を追う傾向が強く、時代的背景(米国崇拝)もあって、新人選択制度は当然のように採用されたというわけだ。
しかしながら、もう一つ、団塊世代の存在を見逃してはならない。
昭和22年生 2,678,792人
23年生 2,681,624人
24年生 2,696,638人
つまり、制度が実施された40年は、団塊一期生の昭和22年生まれが高校を卒業する年に当たり、優秀な野球小僧が全国にたくさん散らばっていたということ。契約金の上限を決めておかないと、大変なことになるとの危機感があった。
昭和22年生 衣笠祥雄(広島・国民栄誉賞)
藤田平(阪神・元監督)
鈴木啓示(近鉄・元監督・三百勝投手)
平松政次(大洋・カミソリシュート)
松岡弘(サンケイ・速球投手)
星野仙一(中日・元監督・燃える男)
福本豊(阪急・世界の盗塁王)
大矢明彦(サンケイ・元監督)
谷沢健一(中日・安打製造機)
江本孟紀(東映・元国会議員・ベンチがアホやから…)
若松勉(サンケイ・前監督・ファンの皆さん、おめでとう)
昭和23年生 堀内恒夫(巨人・前監督)
江夏豊(阪神・伝説の21球)
三村敏之(広島・元監督)
柳田俊郎(巨人・最強の五番打者)
山田久志(阪急・元中日監督・サブマリン投手)
加藤秀司(阪急・全盛期の三番打者)
門田博光(南海・通算本塁打史上三位)
昭和24年生 村田兆治(東京;現ロッテ・マサカリ投法)
川藤幸三(阪神・代打スペシャリスト・松村邦洋で有名)
伊原春樹(西鉄・元監督)
中村勝広(阪神・現オリックス監督)
佐々木恭介(近鉄・元監督)
ちなみに、平成15年の出生数は、1,123,610人と、この時代それぞれの半数にも満たないのである。
Vol.11
団塊の世代は、別名「競争の世代」でもある。
突然、人口が増えたからといって、学校の数が増えるわけではない。だから、この世代が、大学入試を控えたころ、「受験戦争」ということばが生まれる。
突然、人口が増えたからといって、企業の数が増えるわけではない。だから、この世代が、就職を控えたころ、当然に「就職難」という状況が生まれる。
突然、人口が増えたからといって、役職の数が増えるわけではない。だから、この世代が、四十代になって、「管理職のポスト不足」ということになるわけだ。
その後、この世代は、年金で苦しむことになる。
ずっと高いぞ、競争率。
それだけに、団塊の世代は競争力がある。このことは、スポーツの世界で顕著な話。
今回は、相撲で見てみよう。
【昭和22年生】
旭国・照桜・栃勇・豊山
【昭和23年生】
輪島・三重海・魁傑・増位山・金剛・青葉城・朝登・巌虎・大潮・富士桜・北瀬海・若獅子
【昭和24年生】
荒勢・鷲羽山・玉ノ富士・大旺・吉の谷
学歴無用といわれた世界に、学生相撲からの入門ブームを起こしたのが、この世代だ。プロ・アマともに盛り上がって、昭和40年代後半、相撲人気が高まったのである。
Vol.12
紅白歌合戦で、聴きたい曲を視聴者が投票する「スキウタ」アンケートの結果が発表された。昨年の「出場して欲しい歌手」アンケートが不評だったため、歌手名を外した形で客観性を求めたという。昨年は、K1に喰われ、40%の視聴率を割ったことから、来週発表予定である出場歌手の目玉として、ユーミンや山口百恵らが候補に上がっているらしい。
【 紅白歌合戦 1970年代の平均視聴率 】
男性トリ 女性トリ
昭和45年 77.0% 森進一 美空ひばり
46年 78.1% 森進一 美空ひばり
47年 80.6% 北島三郎 美空ひばり
48年 75.8% 北島三郎 島倉千代子
49年 74.8% 森進一 島倉千代子
50年 72.0% 五木ひろし 島倉千代子
51年 74.6% 五木ひろし 都はるみ
52年 77.0% 五木ひろし 八代亜紀
53年 72.2% 沢田研二 山口百恵
54年 77.0% 五木ひろし 八代亜紀
紅白歌合戦の最盛期といえば、なんといっても1970年代である。テレビが各家庭にいきわたり、ドリフターズや萩本欽一の影響力が絶大となったこのころ、「スター誕生」でデビューしたアイドルが「全員集合」に出演。タレントには歌だけでなく、演技も笑いも要求されていた。携帯電話はおろか、ビデオもヲークマンも普及していないこの時代、一家に一台しかないテレビが茶の間でしっかり存在感を示していたのである。
もうひとつ、高視聴率の背景として、競争力のある団塊世代が見逃せない。
【 団塊世代のミュージシャンたち 】
昭和22年生 西郷輝彦 弘田三枝子 奥村チヨ 井上順(スパイダース)
伊東ゆかり 千昌夫 寺尾聰 細野晴臣(YMO) 森進一
小田和正(オフコース) 布施明
昭和23年生 あおい輝彦(フォーリーブス) 森山良子 都はるみ
五木ひろし 財津和夫(チューリップ) 朱里エイコ
いしだあゆみ 金田たつえ 黛ジュン 沢田研二 大滝詠一
美樹克彦 前川清 井上陽水 山本コウタロー ちあきなおみ
由紀さおり 谷村新司 にしきのあきら
昭和24年生 さとう宗幸 南こうせつ 高橋真梨子 武田鉄也 上田正樹
つのだ☆ひろ 欧陽菲菲 矢沢永吉 やしきたかじん
堀内孝雄 松崎しげる 森田健作
ここには、演歌からテクノポップ・ニューミュージックまで、あらゆるジャンルが入り混じって、それぞれに主張しあっていた。彼らが、70年代から80年代にかけて、音楽の黄金時代を築き上げたのである。だから、団塊世代たちには、意外と音楽好きが多く、ギターなど楽器なんか弾けちゃったりするのである。
みのもんた(昭和19年生)の司会起用も団塊世代を意識してのもの。
出場歌手は未定だが、今年の紅白のターゲットは最大母集団である50〜60代に向けられており、平均視聴率も六年ぶりに50%を超えるものと予想している。
Vol.13
プロ野球のドラフト会議が昭和40年に始まり、その年が団塊世代の高校卒業年に当たることは、このメルマガの第10話に書いたとおりだが、今回はこの制度が大きく変わったときのことをまとめておく。
それは、平成5年(1993年)。大学・社会人による逆指名制度の導入だ。何故、このタイミングで変更されたのだろうか?
実は、このころ、優秀な選手がたくさんいたからであって、人口の動きと大いに因果関係がある。つまり、
平成5年に対象となった大学生は、昭和46年生まれということ
団塊世代とは、昭和22年から24年に生まれた人たちで、その人たちが結婚して子供を産む時期に、人口のピークが再びおとずれたのである。これが、人口の揺り戻しと言われる『団塊ジュニア』。昭和46年から49年にかけて、毎年200万人ずつ生まれた人たちのことを指している。
昭和46年生 2,000,973人
47年生 2,038,682人
48年生 2,091,983人
49年生 2,029,989人
こちらも団塊世代に負けない競争力ある世代なのはいうまでもない。昭和46年生まれが大学卒業のタイミングに当たるのが、平成5年なのである。
昭和46年生 前田智徳(広島)
元木大介(元巨人)
仁志敏久(巨人)
小久保裕紀(巨人)
豊田清(巨人)
川崎憲次郎(元中日)
昭和47年生 新庄剛志(日ハム)
鈴木尚典(横浜)
大塚晶文(パドレス)
西口文也(西武)
和田一浩(西武)
村松有人(オリックス)
昭和48年生 イチロー(マリナーズ)
石井一久(メッツ)
中村紀洋(3A・ラスベガス)
谷佳知(オリックス)
松中信彦(ダイエー)
清水隆行(巨人)
黒木知宏(ロッテ)
三浦大輔(横浜)
小笠原道大(日本ハム)
昭和49年生 松井秀喜(ヤンキース)
井口資仁(ホワイトソックス)
今岡誠(阪神)
野口茂樹(巨人)
岩瀬仁紀(中日)
小林雅英(ロッテ)
礒部公一(楽天)
大リーグで活躍するほど、レベルの高い世代ではあるが、背景には団塊ジュニアという塊があることを見逃せない。
Vol.14
団塊の世代や団塊ジュニアが、人数が多いことにより、競争力があるということは、前述のとおりだが、これを逆説的に証明することができる。六十年に一度の割合で出現する丙午(ひのえうま)の存在だ。
「ひのえうま産まれの女の人は、気性が強く、夫を殺すことがある」
などという俗説がはびこり、1966年(昭和41年)に出生数が激減する事態が起
きた。
【 年度別出生数 】
昭和39年 1,716,761人
40 1,823,697人
41 1,360,974人
42 1,935,647人
43 1,871,839人
なんと、前年比74.6%。うっすら覚えているけれど、この年に子供を産む後ろめたさのようなものが、厳然として存在していた。八百屋お七に絡んだ全くの迷信ではあるが、結果として(人数が少ないため)入学や入社などの節目において、競争率が抑えられていたことは否めない。ましてや、大学卒業にあたる1988年は、バブル期とも重なっており、あまくあま〜く考えていた人が多いのもまた「ひのえうま」なのである。
【 ひのえうま(昭和41年生)のプロ野球選手 】
星野伸之(阪急)山崎慎太郎(近鉄)田辺徳雄(西武)
湯上谷宏(南海)松浦宏明(日ハム)長島一茂(ヤクルト)
野村謙二郎(広島)平井光親(ロッテ)平塚克洋(横浜)
カズシゲというのも何か象徴的であるが、団塊の野球戦士たちと比べ、最近の選手であるにも関わらず、印象が薄いと言わざるをえまい。
Vol.15
前回、ひのえうま組に競争力がないと書いたが、今度はこれを歌謡界で見てみよう。以下は、昭和41年生まれのミュージシャンである。
【 ひのえうまのミュージシャンたち 】
小泉今日子(元祖CMの女王・歌は?)
早見優(元祖バイリンギャル・歌は?)
国生さゆり(オニャン子クラブ)
パパイヤ鈴木(振付師)
松本明子(元電波少年)
広瀬香美(高音すぎてカラオケで歌えない)
永井真理子(誰だっけ?)
薬丸裕英(シブガキ隊・今ははなまるマーケット)
東山紀之(少年隊・森光子関係)
植草克秀(少年隊・誰だっけ?)
宮沢和史(THE BOOM)
大槻ケンジ(筋肉少女隊)
トータス松本(ウルフルズ)
単独でちゃんと歌っているのは広瀬香美ぐらいか?どうも、グループ化する傾向が強く、本業から離れていく変わり身も早い。彼らのみならず、この世代の特徴といえるのかもしれない。
いずれにせよ、団塊世代の歌手たちとは、かなり違っているのである。
Vol.16
平成16年のNHK世論調査で、「紅白歌合戦に出場してほしい歌手」のアン
ケートを取ったところ、男性一位が氷川きよし。女性一位は天童よしみであっ
た。
【 紅白に出場してほしい歌手 】
<男性> <女性>
1位 氷川きよし 1位 天童よしみ
2位 SMAP 2位 宇多田ヒカル
3位 北島三郎 3位 柴咲コウ
4位 五木ひろし 4位 坂本冬美
5位 平井堅 5位 浜崎あゆみ
6位 サザンオールスターズ 6位 石川さゆり
7位 森進一 7位 小林幸子
8位 細川たかし 8位 森山良子
9位 ポルノグラフィティ 9位 夏川りみ
10位 ゆず 10位 大塚愛
J−WAVEばかり聴いていると、全く馴染みがないアーティストがたくさんいて驚くが、年配の人からすれば、これまた見たことのない名前がちらほらと。世代によって、支持される歌手が全く違うため、新旧ごちゃ混ぜになった紅白歌合戦が非常にやりにくい。好みの曲が合わないばかりでなく、おかしいと思う会話のスピードも内容も違うからだ。同じものを見ていて、一緒に笑えない夫婦には、間違いなく危機が訪れます。そういうこと。
それにしても、一位が氷川きよしとは。
だから、世の中のオピニオンリーダーは、団塊の世代だという話。人数が多いばかりでなく、お金も持っている。そこへ持ってきて、定年の頃合いを迎え、ヒマもできてきた。お金と健康と時間がある。
断言しよう。これからしばらく、50〜60代に向けた文化芸能が急速に進化する。
趣味探し、あそぶ老人たち…
その先駆けが、ペ・ヨンジュンであり綾小路きみまろである。若いやつらは、携帯代にいっぱいいっぱいで、お金持ってないからねぇ。
Vol.17
12月22日、厚生労働省が05年の人口動態の年間推計で、1899年の統計開始以来、データがない戦中戦後の三年間を除き、初めて日本人の死亡数が出生数を上回ったと発表した。予想よりも、二年早まったという。今年前半に流行したインフルエンザの影響で、高齢者の死亡が増えたことをその理由として挙げているが、問題視されるべきは、どんどん低下していく出生率のほうであろう。
【 出生数の年次推移 】
平成12年 1,190,547人
13年 1,170,662人
14年 1,153,855人
15年 1,123,610人
16年 1,110,721人
昭和22〜24年生まれが団塊世代であり、ここの塊が人口構造に歪みをもたらしていることは、何度も書いてきたとおり。そして、昭和46〜49年生まれが団塊ジュニア。四年連続で、200万人以上が産まれ、この世代にも人数的な膨らみがある。
言うまでもなく、団塊世代が結婚→出産のプロセスを経た結果によるもので、こうした現象を「人口の揺り戻し」という。子供の数は、30歳前後の女性がどのくらいいるかにかかっており、そういう意味で、現在は、「揺り戻し」が起きてしかるべき。そんな傾向が、全くもって見られないところに、事態の深刻さがある。
【 年齢群別女性人口 】
昭和22年 平成16年
20〜24歳 3,699,448人 3,649,000人
25〜29歳 3,080,721人 4,181,000人
30〜34歳 2,766,912人 4,751,000人
35〜39歳 2,552,224人 4,208,000人
団塊ジュニアが30代後半となる五年後、少子化が加速すると言われている。
しかしながら、団塊世代が誕生した昭和22年の人口構造と比較すると、充分すぎる女性人口が存在しているのだ。このデータは、非常に興味深い。
Vol.18
小学生のころ、運動会定番のフォークダンスは、子供ながらドキドキしたものである。憧れのヨシコちゃんと手がつなげる、フフフ…。ところが、先生からはこんな指示が。
「ワカバヤシとワタナベは女の子の列へ」
そう、男子生徒と女子生徒の数には少しだけ差があって、これは毎年のこと。5〜6パーセントほど、男の子が多く産まれているのだ。かくして、ワカバヤシ君とワタナベ君の運動会に楽しい思い出はない。
こうしたトラウマは、社会人になっても続く。
運転手代わりの“アッシー”だとか、食事を奢るだけの“メッシー”だとか、プレゼント専門の“貢(みつぐ)くん”だとか。若年層の恋愛は、女性にやられっぱなし。それもこれも、男女の需給バランスの悪さに起因しているのである。
総務省統計局の発表によれば、今年の新成人(昭和60年生まれ)人口は143万人。男女別にみると、男性73万人、女性70万人だそうだ。
成人式が荒れるのは、あぶれた男の子たちによるものである。彼女のいる子は、あんなことやらない。当然でしょ。ワカバヤシやワタナベが多いかどうかは知らないけど。
Vol.19
『JTで薬の研究開発をしている石井さんがほっとひと息して飲むルーツのいい香りは、「おっ、ディライト」だったり、息子の卓也くんのお弁当のミニ春巻きは冷めてもパリパリで、「ディライトー」だったり、お母さんのとも子さんがサンジェルマンで買ったパンのピエールの焼きたての味わいは「うん、ディライト」だったり、弟の耕治さんがひと休みしているスモーカーは、「うん、ディライト」だったり、他とはちょっと違うよろこびディライトを増やすのが、私たちJTの仕事です』
多角化である。日本たばこ産業のタバコからの脱却。嫌煙運動もさることながら、売上の低下という事実を見逃せない。
販売数量(百万本) 15〜64歳人口(千人)
昭和40年 173,639 66,928
45年 222,745 71,566
50年 290,202 75,839
55年 303,974 78,884
60年 310,700 82,535
平成 2年 322,000 86,140
7年 334,700 87,260
12年 324,500 86,380
16年 292,600 85,077
昨年から人口減少が始まったと言われるが、実は15〜64歳の生産年齢人口の減少はすでに始まっており、ピーク時の平成7年からは、すでに二百万人以上が少なくなっているのである。これに加え、外国タバコのシェアも27.1%と伸びており、国産タバコのジリ貧傾向が顕著になっているのだ。
Vol.20
生産年齢人口のピークは、平成7年(1995年)で、そこからは少しずつ減少傾向にある。15〜64歳というのは、購買力のある世代であり、その人口逓減によってタバコと共に影響を受けるのが、アルコールだ。
【酒類課税数量の推移(国税庁調べ)】
<1994年> <1999年> <2004年>
清酒 1,297,299 1,067,690 762,964
焼酎 652,670 760,239 1,047,090
ビール 7,453,489 5,832,653 3,917,304
果実酒 149,499 298,037 254,059
ウイスキー 171,290 132,139 87,485
発泡酒等 19,315 1,404,325 2,622,218
その他 423,481 608,671 971,236
-----------------------------------------------------
合計 10,167,043 10,103,754 9,662,356
焼酎人気で清酒が喰われ、発泡酒が売れるのはビールの代わり。ワインブームも一段落し、全体として下げ潮に向かっている。これは、体力のある(お酒が飲める)生産年齢人口が減っている事実に因るものに他ならない。
こうした縮む経済の中で、勝ち残っていくポイントは、市場創造。海外進出が手っ取り早いのだが、それがかなわない場合、今まで届かなかったところへ届ける努力を行うこと。
具体的には、発泡酒やノンアルコールビールであったり、プリン体90%カットであったり、糖質70%オフだったり。貧乏人はもとより、運転者や病人やデブにまで、飲ませようとするところが凄い。
アルコール業界で起こっている現象は、メーカーがそれほど多くないこともあって、分かりやすく、非常に参考になる。この中で、国内産ワインの頑張りが足りなかったのは、ちょっぴり残念だけど。そして、酒屋さんがコンビニに転向するのは、必然の流れなのである。
Vol.21
日本中のオデブに希望を与えた女優若村真由美のことが忘れ去られようとしたころ、謎のオッサンがハーレム生活で逮捕された。なんでも呪文を唱えると、モテるんだそうな。重婚は認められていないので、籍を入れたり出したり。なんか、株取引っぽいけど、これはルールの中。脅迫めいたことを言ったのがいけないんだと。まぁ、不思議な事件ではある。
そこで、人口を読む立場として考察を加えると、
前にも述べたように、若い世代については、圧倒的に男性が余っているので、こういうオトコがいると、余計に若い女性が足りなくなるのが問題だ。こんな時代は、真逆の存在が必要なのである。つまり、たくさんの男性を一人で引き受ける女性…叶姉妹みたいなイメージでいいんでしょうか?
現実の嫁不足は、国境を越えて招かざるを得なかったりする。「新婚さんいらっしゃい」に出てくる40過ぎのオッサンは、お店で知り合った外国人妻というのが定番だ。だから、今度はそういう国へ、シワ寄せが行ったりするのであります。やれやれ。
Vol.22
前号に勢いで、嫁不足が国境を越えた話を書いたので、ついでに数字的な裏づ
けを取っておこう。
【 国際結婚の年次推移(平成16年人口動態統計より) 】
夫が日本人 妻が日本人 国際結婚比率
昭和45年 2,108件 3,438件 0.54%
50年 3,222 2,823 0.64
55年 4,386 2,875 0.94
60年 7,738 4,443 1.66
平成 2年 20,026 5,600 3.55
7年 20,787 6,940 3.50
12年 28,326 7,937 4.54
16年 30,907 8,604 5.48
変われば変わるものである。特に、男性の伸びが著しいのは、前述のとおり、需給アンバランスの必然性による。相手の国籍別でみると(平成16年)、
夫が日本人の場合 妻が日本人の場合
1位 中国 11,915件 韓国・朝鮮 2,293件
2位 フィリピン 8,397 米国 1,500
3位 韓国・朝鮮 5,730 中国 1,104
4位 タイ 1,640 英国 339
5位 ブラジル 256 ブラジル 268
以前は、フィリピンから出稼ぎに来ていた女性と知り合って、ゴールというパターンが多かったのが、ここへきて首位の座を中国に奪われた。それだけ、中国女性の働き手が増えているということか。
面白いのは、韓流ブームといいながら、日本人女性が韓国人男性と結婚するケースがそれほど増えていないこと。それとこれは別だと言われそうな気がする。
Vol.23
生産年齢人口(15〜64歳)がピークであった平成7年が、国内における消費の最盛期に重なっていることは、タバコ・アルコールの項でも述べたとおりだが、もう一つ、食塩摂取のことにも触れておこう。
【 国民一人当たり食塩摂取量の年次推移 】
昭和50年 13.5g
55年 12.9
60年 12.1
62年 11.7
63年 12.2
平成 2年 12.5
6年 12.8
7年 13.2
8年 13.0
12年 12.3
15年 11.2
(厚生労働省・国民栄養の現状より)
戦前は25gあったと言われている塩分の過剰摂取が、高血圧から脳卒中を引き起こす原因となっているとされ、厚生省(当時)の主導のもと、減塩運動が全国的な展開をみた。そして、これがどんどん減り続けて、昭和62年に一度、底を打つ。その後、反転。平成7年までは、再び上昇カーブを描いたのである。
何故か?
それは、「現代版・おふくろの味」(注;袋に入っているから)と言われるコンビニの普及に伴ったもので、ファミレスなどの外食産業も一役買っていた。
しかし、それも平成7年まで。若い人の割合が減っていくと、食べ物の薄味傾向に拍車がかかるということだ。最近は、ファミリーレストランでのカロリーや塩分表示が常識となっているのは周知のとおり。「健康的な食欲」を満たすための努力が、あちこちで始まっているのである。
あらゆる世代の中で、55〜60歳の人口が一番多いというのは、我が国の歴史上で初めてのことである。そして、この層は、時間と健康とお金を同時に持ち合わせた世代であり、消費の王様だということを忘れてはならない。しかしながら、王様でいられるのも十年足らずのことだといううっすらした認識はある。だからこそ、これからの十年は、「健康」がキーワードとなっているのだ。タバコを止め、酒量を減らして、塩分を控えめに。
健康のためだったら、死んでもいいと思っている人は、たくさんいるのである。
Vol.24
劇作家の野田秀樹氏は、その著『体でっかち』で、オリンピックのことを放っておきと絶滅するスポーツを守るワシントン条約のようなものだと看破していたが、なるほど卓見である。ジャンプの競技人口は、日本全国で300人程度、ボブスレーに至っては30人しかいないのだ。こんなのばっかり。女子リュージュの全日本選手権は、たったの二名で争われた。確率50%の五輪キップ。
【直近の冬季五輪のメダル獲得個数】
2002年 ソルトレイク 2個
1998年 長野 10個
1994年 リレハンメル 5個
1992年 アルベールビル 7個
1988年 カルガリー 1個
トリノで日本人選手の絶望的な苦戦が続いているが、これは、人口減少の副作
用ともいえる。
つまり、清水宏保・岡崎朋美に代表される昭和46〜49年生まれの団塊ジュニアが選手としてピークの状態にあったのは、長野五輪の時期に重なっていたということ。地元の利もあったけど、競技人口の多さに支えられていたのだ。
それに加えて、長引く不況の中、雪印を始めとするスポンサー企業が消極的になって、どの競技もずるずると低調に。なにしろ、夏季と違って、条件が整わなければ開催すらできない冬のスポーツは、お金がかかる。これは、世界中同じようなこと。
かくして、サーカスの興行のように、ワールドカップと称し、同じような選手たちが各国をぐるぐると転戦している。20回ぐらいやれば、たまには日本選手も表彰台に上がりますね。結果、たくさんのメダル候補が生まれたのである。
しかし、スノーボードクロス男子予選、36名参加の決勝トーナメント進出32名に象徴されるように、やたらと番狂わせが起こりにくい仕組みとなっていて、このあたりが一発勝負の多い夏のオリンピックと違うのだ。市議会議員選挙みたいな感じ。これは、用具メーカーの思惑も絡んでいるような。
一般の企業がお金を出すとすれば、CMに起用できるキャラクターだ。美しいアスリートの増加は、偶然でもないのである。競技団体は、外見を重視しているに違いない。男子選手は、会話を磨くことですかねぇ。
いずれにせよ、いろんな競技で日本がメダルを取れなくなる流れが止まらないのだ。少子化とは、そういうことである。
Vol.25
冬季オリンピックでは、さんざんだった日本も、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では頼もしい。それは、野球という競技の性格上、30〜34歳くらいに選手としてのピークを迎え、そこがまさに団塊ジュニアの世代と一致するからである。
本稿13号で述べたとおり、松井秀(ヤンキース)イチロー(マリナーズ)新庄・小笠原(日ハム)松中(ソフトバンク)など、人材が目白押し。少々の辞退が出たとしても、まだまだ層が厚いのだ。これに加えて、見逃せないのがこの世代特有の競争力。
同学年が200万人超と人数が多いことで、受験が試練であったことに加え(受験が試練ということは日常会話から違ってくるのです)、90年末から始まったバブル崩壊によって、就職も氷河期に。外へ目を向ければ、ソビエト連邦の崩壊に伴う冷戦二極構造の終焉、国内は細川政権に期待したと思ったら、社会党村山政権まで誕生してしまう、なんでもアリの状況であった。いや、なんにもナシともいえる。つまり、個々において価値観の再構築が必要で、そんな中からホリエモン(72年生)が登場したのだ。
だから、松井秀やイチロー・新庄・中村紀・石井一があっさり、海を渡っていくのも、時代の副産物的な状況である。このクラスは自分を大切にするので、精神的にも逞しいですよ。国のためでなく、自分のために闘う。行動を決める。それでもいいじゃありませんか。
アメリカが断トツとはいうものの、一発勝負のトーナメントは分からない。三月もまた、眠れない夜が続くのである。
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